昨今では駅前などで通えるダンス教室が人気ですが、ダンスは古今東西を問わずに、古くから人々の生活に密着して発展してきた文化だと言えます。
若者だけに留まらず、近年では子どもから中・高齢者にいたるまで、ダンスを楽しむ人たちの数は増えてきています。
そこで、今回はダンスの効能や効果をご紹介することで、単なる趣味にとどまらないダンスの奥深さや意義について解説していきたいと思います。ぜひ最後までお読みになって、あなたの素敵なダンス・ライフを盛り上げてみてください。
ダンスの奥深さ
一言でダンスと言っても、そこには様々な種類があり、それぞれで歴史も異なっています。ダンスは有史以来から踊られていた、というのが現在での定説になっていますが、歴史上の文献としてもっとも早くに現れるのは、エジプト文明におけるダンスだという説があります。こ
のダンスは、現在のベリーダンスの起源になったとも言われていて、なんともダンスの奥深さを実感させてくれる事柄だと言って良いでしょう。
しかし、近年になってそんなダンスの世界にも変化が現れてきました。単なる趣味としてではなく、ダンスを積極的に楽しむことで、それを精神・身体能力の向上につなげようという動きが現れてきたのです。具
体的には、ダンスとフィットネスとを一体化させたエアロビクスの創設などに、その動きを見ることができます。
また、昨今では、幼稚園や保育園などでも、リトミックと言って音楽にあわせて体を動かすことを、教育面でも積極的に取り入れていこう、という動きが広がっています。ダンスには、自由さと発想力とが要求され、誰もが上手いと認めるダンスには、創造性があります。その点だけを取っても、ダンスが人々の生活能力を向上させるものだということが、分かっていただけるのではないでしょうか。
▽精神面での効果
まず、ダンスにはどんな精神的な効果があるのかを解説していきましょう。
〇ダンスの効果①:リラクゼーション効果
ダンスの第一の効果と言っても良いのが、リラクゼーション効果です。近年では、リラックスすることの意味が改めて問い直されてきていますが、ダンスは歴史も古く、誰もが簡単に行える手軽な趣味です。そこにリラクゼーション効果もあるとなれば、注目する人も増えるでしょう。
ダンスの大きな意味は、音楽とともに体を動かすという点にあります。ダンスの効果・効能の秘密の一端も、この「音楽とともに体を動かす」という点に秘められています。
音楽にも様々な種類がありますが、ダンスはゆるやかな音楽から激しい音楽まで、いろいろなカテゴリーの音楽に合わせて体を動かします。
とくに社交ダンスなどは、クラシック音楽に合わせて踊られることが多いですが、このクラシック音楽というのは、脳をリラックスさせるアルファ波を出してくれる音楽だと言われています。
体を動かす以前に、音楽自体がリラクゼーション効果をもたらしてくれるわけです。こうした効果は、ヒーリング・ミュージックやKポップなどをBGMとするダンスでも得られるとされています。
また、体をストレッチさせることによるリラクゼーション効果もあります。ストレッチはそれ自体でも高く評価されているリラクゼーション方法ですが、ダンスの場合には音楽に合わせて自然にそれを行える、という点で大きなメリットがあります。誰もが無理なく行える、というのが、ダンスのもっとも大切な点なのです。
〇ダンスの効果②:コミュニケーション能力の向上
ダンスは、個人個人で行うことができるものもありますが、一般的にはパートナーを必要としたり、団体で踊ったりするものが多いです。そのため、自分の動きを人の動きと合わせる、間合いを合わせるといったコミュニケーション能力も必要とされてきます。コミュニケーション能力というと、難しく考える人もいるかもしれませんが、要は自分を他者と合わせる能力が必要とされるわけです。
2011年からは、学校の体育の授業でも、ダンスの科目が必須とされました。ここで学ばれるダンスは、「創作ダンス」「フォークダンス」「現代的なリズムのダンス」の三つのダンスです。そのいずれにおいても、ダンスを通じて他者とコミュニケーションを取る、ということが重視されています。
学校の体育の授業では、まずは体を動かすことは楽しい、ということを学びます。その上で、他人といっしょに体を動かすことも楽しい、ということを教わるわけです。人は、楽しいこと以外にはなかなか興味を向けられませんが、ダンスを通じて他者と交わることが楽しいと感じられれば、これ以上の効果はないと言えるのではないでしょうか。
▽身体面での効果
では、次にダンスのもたらす身体面での効果について見ていくことにしましょう。
〇ダンスの効果③:身体能力の向上
ダンスは全身運動であり、次節でご紹介するダイエット効果にも通じるような有酸素運動です。体を曲げ伸ばしすることで、全身の筋肉にまんべんなく負荷をかけることができます。そして、それは全身の筋力の向上にもつながってきます。
また、ダンスは一定時間体の動きを持続させることで、心肺能力の向上や全身の持久力の向上などにも効果があります。ただ単に自由に体を動かしているだけ、とも思われそうなダンスですが、意外な面で身体能力の向上にも一役買っているわけです。現に、エアロビクスの創始者であるクーパー博士は、アメリカ空軍の心肺機能向上のためにこのダンスを創始したとも言われています。
例えば、ダンスを上手く踊るためには、全身のバランス能力が必要とされます。バランス能力は、筋力と運動能力の両方によってもたらされるものです。どちらか一方を欠いていては、ダンスを上手く踊ることもできません。まさに、ダンスはバランス感覚を必要とするわけです。
一般的に言って、ダンスによって鍛えられるのは、筋肉のなかでもインナーマッスルだとされています。インナーマッスルというのは、体の深部にある小さな筋肉のことで、体幹を構成している基本的な筋肉でもあります。このような部位を鍛えることで、持久力・瞬発力・バランス力などが培われていくわけです。
〇ダンスの効果④:ダイエット効果
ダンスには、もちろんダイエット効果もあります。もちろん、と言うのは、ダンスくらいの運動では体重を減らす効果まではないのではないか? と思われる人もいるかもしれないためです。しかし、数十分~一時間くらいダンスをすれば、ご飯一杯から二杯分くらいのダイエット効果があるということが分かっています。
ダンスの種類によってももちろん異なるのですが、ゆっくりめのダンスをした時には、男性であれば一時間で約260キロカロリー、女性であれば約200キロカロリー。激しいダンスをした時には、男性であれば一時間で約380キロカロリー、女性であれば約300キロカロリーほどのエネルギーを消費すると言われています。
一般的なウォーキングを一時間行った時の消費カロリーは、約150~350キロカロリーほどですから、体重が低い人であれば、ダンスはウォーキングよりも効率の良い運動であると言うことができます。ダンスをすればインナーマッスルも鍛えられますから、その分運動をした時の消費カロリーも増え、ダイエットの相乗効果が期待でできると言うことができます。
▽子どもの発育にも効果あり!?
このように魅力的なダンスですが、子どもへの効果は期待できるのでしょうか?
〇ダンスの効果⑤:教育面でも積極的に取り入れられているダンス
幼稚園や保育園でのリトミックの導入、義務教育や高校でのダンス授業の導入など、教育現場でもダンスは一定の成果を上げています。では、ダンスの授業は具体的にどんな子どもたちにとって成果があるのでしょうか。一つには、まずコミュニケーションや学習を苦手としている子どもたちに効果がある、と言われています。
一例として挙げれば、ダンスは発達障害のある子どもたちを育てるカリキュラムに取り入れられています。ダンスは全身のバランスや持久力を鍛えることで学習能力にプラスになるとされ、また、他者とのコミュニケーションを取ることで、コミュニケーション能力の強化も期待できます。
これまで見てきたように、ダンスは身体・精神の両面に効果をもたらします。ですが、それ以上に重要な要素が、自主性です。ダンスをするにあたって、子どもたちは自ら考え、誰にも負けない踊りをしたいと考えるようになります。そうした積極性が、子どもの成長にとって重要な要素となるわけです。
〇まとめ
いかがでしたか。ダンスの効果・効能とともに、その奥深い世界についても、少し知っていただけたのではないでしょうか。ダンスは誰でもできる、そしてどこまでも成長していける、というのが魅力の一つです。皆さんも、どうか今回の記事を参考に、奥深いダンス・ライフを送ってみてください。