社交ダンスの仕事

やめるべき?社交ダンスプロの歩合がエグい

社交ダンスの先生の給料体系ってどうなってるかご存知でしょうか?
大体の教室でとられているシステムって特殊です。

雇ってもらって数年は保障制度があり、ある程度の固定給があります。
それに歩合給です。

しかし、数年後は保障が切られ、完全歩合給になるのが一般的です。

この完全歩合給ダンスの先生はおかしいな?と思いながら暗黙の了解で問題にされていません。
残業代も出ない。最低賃金以下で働く先生もいる。こんな給料でみんなよくやっているなと思っています。

実はこの完全歩合給って労働基準法では違法なのです。
今回は、社交ダンスの教室の歩合給について考察していきたいと思います。


社交ダンスの給料体系とは?

社交ダンス教室の給料体系の多くは、完全歩合給です。

最初の数年は固定給と言われる保証がついており、さらに歩合給がついてるシステム。
保証制度が終わるのは教室によって異なるが、1年、2年、10年、保証分を稼げるようになったら。

歩合+歩合給

例)
月の保証が15万と決まっている場合、15万は必ず貰える。
稼ぎが15万を超えたら、超えた分も給料として貰える。

ここで気をつけたいのは、お客様にもらったレッスン代が全てもらえるわけではなく、
割合があり、5割、5.5割、6割とある。
5割と決まっている場合は、レッスン代の5割が自分の手取りになるので、
3000円のレッスン代であれば、1500円が自分の手取り。

50レッスンでも15万。
100レッスンを行えば、15万になる。
120レッスンを行えば、18万になる。

保証期間が終わると、完全歩合になる。
稼いだ分だけが月給になるわけだ。

完全歩合の場合

50レッスンだと、75000円
100レッスンだと15万
120レッスンだと18万

歩合給とは?

歩合制は個人の業績や成果によって給料が決まる成果報酬型の給与制度です。

完全歩合給とは?

フリーランス的な考え方で、フルコミッションとも呼ばれます。
成果によっては給料が0円ということもあり得ます。

契約としては、業務委託契約になります。

業務委託契約とは?

クライアントから業務を委託してもらい、業務を行うことにより報酬を支払ってもらう契約です。

メリットとしては、歩合率も高い。
時間は自由に設定できる。

保護は十分ではないですが、働きがいい時に沢山もらえるので実力がある人にはいいです。

デメリットとしては、自分の働きが給料としてダイレクトに反映されるので収入が不安定になりがちです。
残業代もありません。(労働者として認められれば支払われる可能性がある)

雇い主も、社会保険の加入義務もなく、確定申告などの申告も個人がやればいいので負担が少なくて済みます。
人件費としての固定費がかからないので、もしも集客面でうまくいかなくても会社は損はありません。
労働者として雇ってるわけではないので、解雇などもしなくて済みます。

人件費の抑制と、解雇の必要性がないのが会社としてのメリットです。

固定給+歩合給

契約は、雇い主と労働者としての契約になります。
社会保険契約の義務も生じる可能性もあり、賃金も最低保障が保障されます。

完全歩合が個人事業者(フリーランス)
固定給+歩合が労働者

ということになります。

ここで大事なのは、完全歩合の人は労働者にしてはいけないことです。

完全歩合で働けるのは、業務委託契約で働く個人事業者(フリーランス)のみ。



労働者の完全歩合は違法

労働基準法では、最低時給以上の給与が保証されない完全歩合制は違法となっています。

完全歩合制は営業ノルマや成績が悪いことによって、1日8時間以上働いても給料が一切もらえないことがよくあるからです。

社交ダンス教室は違法?

社交ダンス教室では、最初の数年は保障制度がある教室は、労働契約を結んで、地域の最低賃金は保障されなければいけない。

保障が切れた後は、完全歩合になる場合は、業務委託契約に切り替え、時間的拘束がなくなり成果報酬になるはずである。

労働基準法27条 (出来高払い制の保障給)

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

労働時間×最低賃金=給料

「固定給+歩合給」においても、最低賃金を下回ってはなりません。

会社・雇用者は労働時間×最低賃金という最低限の金額を労働者に対して支払う必要

例)1日8時間労働で、東京都の場合。

東京都の最低賃金は、1013円(令和1年10月1日現在)

1日8時間×1013=8104円
25日働けば、202,600円が保障されなければいけない。

勿論、週に20時間以上働いているので社会保険も加入し、健康保険、厚生年金の事業者負担もしなければいけない。

保障されない場合は、罰金

保障給の未払い

出来高払制の労働者に対して、一定額の保障給を支払わない場合には、会社は、労働基準法
120条1号にしたがい、30万円以下の罰金を科せられるおそれがあります。

厳罰ではないので、罰金刑のみです。
営業停止などにはなりません。

ただ、労働者は法律により守られています。

これら一つでも当てはまれば労働者です。

  • 給料が時給制
  • 出勤日・出勤時間が決まっている
  • スタッフに営業の指示を受けている

下記の項目に当てはまるのが個人事業主で、業務委託契約です。

  • 出勤日・出勤時間が決まっていない(自由に出勤している)
  • 報酬が時給制ではなく、売り上げの何%分が支払われる




現状の社交ダンス教室は?

ほとんどの教室では、完全歩合にも関わらず、労働者としての契約のように働いている先生がほとんどです。

(最近一部の教室では、しっかりと社会保険や、業務委託契約を結んでいる教室もあるようです)

教室のオーナーが偉くて、雇われは弱い?

最近、どこの業界の会社でも問題になっています。
ブラック企業、残業代の不払いなど。

労働環境を整えるのは、雇い主の義務です。

ダンス教室では勝手に、給料が決められ、残業代も出ず、雑用を行い、最終的には保障を切られ、完全歩合という給料体系にされてしまいます。
完全歩合にも関わらず、外に行くことも許可されず、時間も拘束され、雑用も行う。

勿論、契約書などありません。

稼ぐことはこれから大変になっていく中で、完全歩合にされてしまえば、
若いダンス教師がこんな教室に入ったとしても耐えられず辞めていってしまうことでしょう。

働いている人が稼いでいない人の給料を稼いでいるのだから、雑用は当たり前??

若いスタッフの仕事は結構あります。

・掃除
・お茶出し
・先輩のお客さんのお相手
・ポスターやチケット作り
・会計

など。

忙しい先輩の代わりにやるのが当然と思われていますが、本当にそうなのでしょうか??

雇ってくれたオーナーに感謝!?

今現在の、労働契約は、雇い主である教室のオーナーのメリットばかりです。

これから雇い主は、業務委託契約にするのか、社員として保障をしっかりしていくのか、決めていくべきでしょう。

しっかりと育てていくという意思があるのであれば、長く働いてくれるように、社員としての保障をしっかりしていくべきではないでしょうか??

その上で、先生たちは、どちらの方が自分にとって働きやすいのか選べればいいのではないでしょうか??

仕事がある人が、仕事のない人の分も稼いで会社を成り立たせていくことは大切ではあります。
しかしそれは、しっかりと「賃金」というものがあるから仕事がない人のモチベーションが続くのです。

ただ、伝統だからみんな通ってきた道とかそういうことではなく、目に見える報酬が必要ではあると思います。


まとめ

現在の教室に働く先生は、完全歩合という労働基準に反することが多い。
社会保険や、最低賃金をしっかりと払える、払ってくれる教室に務めることが大事だと思う。

競技で成績が出るからといって入るのもいいが、稼げず保障もされず生活できないのでは意味がない。

これから、雇う人も雇われる人も気持ちよく働ける環境作りができることも願う。

この記事を書き終えた後、知り合いの先生が教室からフリーランスになるようにといわれたそうだ。社会保険事務所から社会保険加入をかなり強く言われていたらしく、それだったら労働者として雇うよりフリーランスで自由に活動してもらうようにしたわけだ。

社会保険料分の雇い主には負担がないし、場代も入るのでその方がいいわけです。
その先生も、外に自由に働きに行くことも可能ですので、今回のケースはどちらにとっても良かったそうです。

確定申告についても教室の税理士さんがやってくれるということでした。