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社交ダンスで理想的な身長差は?克服するポイントも解説!

社交ダンスでは男女の身長差が大きいと良くないとよく言われています。大きな身長差がある人とは一緒に踊れないのだろうか?と疑問に思っている人もいるでしょう。

確かに社交ダンスでは、理想的とされている身長差の基準があります。ただ、ほんとうにその身長差にこだわらなければならないのでしょうか。

この記事では一般的に理想的とされる身長差と、身長差を克服して社交ダンスをするポイントを解説します。

競技ダンスで上位を目指すとき以外は身長差を気にしないでOK

まず、前提として押さえておきたいのは、社交ダンスで身長差を気にする必要があるのは競技ダンスの場合だということです。

競技ダンスでは複数の審査員による評価を受けて、合計評価によって勝敗を競います。競技ダンスで上位を目指すときには、身長差があることで不利になるリスクがあるので気にした方が良いのは確かです。

しかし、競技ダンスには参加せず、趣味として社交ダンスを楽しみたい人は身長差を気にする必要はありません。相手に合わせて踊ることを意識すれば十分で、社交ダンスをいろいろな人と楽しめます。

競技ダンスに参加する場合でも、本気で社交ダンスを学ぶモチベーションにするのが目的で、優勝を目指すわけではないのならあまり気にしなくても問題ありません。

ただ、身長差が社交ダンスに与える影響は知っていて損をすることはありません。本気で競技ダンスに取り組む人も、社交ダンスを楽しんでいきたい人も理想的な身長差と、身長差を克服するポイントを押さえておきましょう。

社交ダンスで理想的な身長差は10cm?

社交ダンスで理想的な身長差は10cmというのが通説です。男性が女性よりも身長が10cm高いとスタンダードの種目は踊りやすいと言われています。

審査にも影響があると言われていますが、実際に理想的な身長差の男女ばかりが競技ダンスに出場しているのでしょうか。

理想的な身長差について詳しく掘り下げて理解しておきましょう。

実際の身長差は6cm程度

社交ダンスで男女が横に並んだときの身長差は、実際には6cm程度になります。男女でシューズのヒールの高さに差があるからです。

一般的な社交ダンスのシューズでは、男性用では3cm、女性用では7cmのヒールがあります。そのため、踊っているときには6cmの身長差です。本当にわずかな差しかないので、見た目で身長差がある男女ペアの場合には理想的な基準から外れています。

現実としては理想的な身長差でペアになっているケースはあまり多くありません。

身長差が大きくても小さくても審査では不利になるリスクがある

社交ダンスの理想的な身長差から外れると、審査で不利になるリスクがあるのは確かです。身長差は大きくても小さくても評価が下がる可能性があります。目の肥えている審査員ほど、美しく踊りやすい身長差を直感的に覚えているからです。

10cmの身長差があると踊りやすいことを認識している審査員は、身長差がほとんどなかったり、大きな身長差があったりすると評価に時間をかけないことがあります。社交ダンス大会では限られた時間内に多数のペアを評価しなければならないからです。より上位になる可能性が高いペアを丁寧に評価するのはもっともなことでしょう。

そのため、身長差が原因で印象が悪くなると見てもらえないというリスクがあります。

身長差が大きくてもチャンピオンになれる

身長差は不利になる要素ですが、大きな差があってもチャンピオンになったケースがあります。最も有名なのはティモシー・ホーソン(Timothy Howson)、ジョアン・ボルトン(Joanne Bolton)のペアです。ティモシーとジョアンのペアはWSSDF(World Super Stars Dance Festival)などの有名な大会で優秀な成績を収めているだけでなく、2005年の全英選手権ではチャンピオンに輝いています。

身長差は頭一つくらいあるので20cm以上でしょう。それでもタンゴやスローフォックスとロットなどのスタンダードを見事に踊って高い評価を得ています。

こうした実例があるということは、身長差があっても競技として社交ダンスで上位を目指せるのは明らかでしょう。

スタンダードとラテンでは考え方が違う

競技ダンスはスタンダードとラテンがありますが、身長差についての考え方が違います。スタンダードではホールドをしやすい身長差として10cmがゴールデンスタンダードになっていますが、ラテンの場合にはホールドが少ないので他の部分で点を稼ぐことが可能です。身長差がないと自然な歩幅が男女で同じくらいになるため、機敏に動けるのがメリットです。細かいステップを踏みながらスピード感のある動きをする種目が多いラテンでは、身長差がなくても高い評価を得られる可能性があります。

身長差が適切でないと社交ダンスで不利な点

身長差が大きかったり、小さかったりすると社交ダンスでは何が不利になるのでしょうか。踊りやすさと高評価の受けやすさという点から問題点を解説します。

身長差が大きいとホールドが難しい

男性の背が低い、あるいは高すぎる場合にはスタンダードで重要なホールドが難しいので不利になります。ホールドの位置をどこにするかが大きな課題で、ナチュラルな形でホールドしようとすると無理な姿勢になって美しくなくなってしまいがちです。

身長差があるとカップルの歩幅を合わせにくい

歩幅が合わせるのが難しいのが社交ダンスでは厳しい課題です。身長差が10cmに満たないだけなら歩幅を合わせるのは簡単です。しかし、身長差が大きいと背が低い人が必死に進むか、背が高い人が歩幅を狭めるかといった調整が必要になります。

背が低い人が大股で進むと重心が低くなり、背が高い人が歩幅を狭めると重心が高くなるため、身長差がさらに大きく見えてしまいます。歩調を合わせて美しく踊るには十分な練習が必要です。

常識から外れるので審査員の目から外れやすい

競技ダンスの審査では身長差が明らかに標準からずれていると、審査員の目から外れてしまうリスクがあります。常識から外れているので、美しく踊れるはずがないとレッテルを貼られてしまいがちです。審査員が関心を持ってくれないと、ハイライトのタイミングを見て評価してもらえません。

趣味の社交ダンスなら気にする必要はありませんが、競技ダンスで上位を目指すなら対策が必要です。

社交ダンスで身長差を克服するポイント

社交ダンスで身長差があったとしても踊れないわけではなく、チャンピオンになっているペアすらいます。ここまでに紹介したように、身長差が小さい場合にはそれほど大きなデメリットはありません。

しかし、身長差が大きいときには克服する努力が必要です。ここでは大きな身長差があるときの克服のポイントを解説します。

身長が高い人が足腰を緩める

身長差があるときには、背が高い人が姿勢を張らずに足腰を緩めて踊るのがポイントです。ボディの姿勢はきちんと張って美しく見せなければ競技ダンスでは高い評価を得られません。

しかし、足腰を緩めて重心を下げると相手に合わせられます。ホールドの高さを変えずに終始足腰の位置を低くして踊るのがコツです。

身長が低い人が意識してボディを上げる

背が低い人は無理のない範囲でボディを上げるのがコツです。天井から吊られているような気持ちで体をすっと上に引き上げましょう。ただ、足腰は軽く緩めておかないと社交ダンスは踊れません。

体幹を意識して上半身だけを上げるという意識を持つのが大切です。女性の場合には左上に伸びるようにすると男性とうまくマッチします。

ぴったり合うステップを探し出す

身長差がある場合には二人だけの美しく見えるステップを見出しましょう。身長差があると難しいステップもあります。男性の背が高すぎるとスピンだけでも大変です。

練習を繰り返してさまざまなステップを経験し、ぴったり合うステップを中心にしてダンスを組み立てるのが効果的です。見た目を美しくしつつ、踊りやすいステップにするのが成功のコツです。

得意・苦手の取捨選択をしてトレーニングする

身長差によって苦手なことが出てきますが、苦手なところを目立たせずに得意なところをアピールすれば評価が上がります。競技の社交ダンスでは評価が高くなれば何も問題ありません。ラテンならスピード感を重視してキレのあるダンスをすると評価が上がるチャンスがあるでしょう。

スタンダードなら身長差を感じさせないダイナミックさをアピールする方法が効果的です。得意・苦手を意識して取捨選択し、取り柄を活かすようにトレーニングしていきましょう。

目立つメリットを活かす

社交ダンスでは身長差が10cmというのがゴールデンスタンダードなので、身長差が大きいと目立ちます。目立つメリットを最大限に引き出して踊るのもコツです。フロアに立った時点で目を引くので、最初にいかに存在感を出すかが重要なポイントです。

最初に得意なダンスをして審査員を魅了し、身長差を意識させないようにしましょう。身長差が大きいと目立つのはプラス要素なので、最大限に活用するダンスを作り上げるのが大切です。

まとめ

社交ダンスは身長差が大きくても小さくてもデメリットがあるのは確かです。ゴールデンスタンダードの10cm差のパートナーを見つけられれば有利と考えられるでしょう。

しかし、身長差があってもチャンピオンになっているペアもいます。工夫とトレーニングで身長差の問題は克服できるので、あきらめないようにしましょう。

競技ダンスでは身長差が評価にかかわるので重要です。ただ、趣味として社交ダンスをするなら大きな問題にはなりません。背が低い男性や背が高い女性は社交ダンスに合わないと思いがちですが、気にせずにチャレンジしてみましょう。パートナーと協力してダンスを仕上げていけば、楽しく美しく踊れるようになります。